管工事施工管理技士とは?
中高層ビルやマンション、住宅などの建築物には上下水道・ガス・冷暖房・空調システムといった様々な管が通っています。このような管を取り付ける際には、建造物の構造や建材に応じた工事を行わなければなりません。1級技士が規模の大きい工事で施工計画を作成し現場監督を行い、2級技士は、小規模の工事や下請けで施工を行います。
建設業法で特定建設業の管工事を行う営業所には1級管工事施工管理技士を配置しなければならないと定められています。また、一定予算以上(4,000万円以上の工事)の工事を請け負う場合にも各現場ごとに1人以上の1級資格所持者がついていなければならないという規定もあります。
つまり、管工事を行う営業所や建設・建築現場では必須の資格になる為、需要の高い資格と言えます。
管工事施工管理技士の仕事内容
管工事施工管理技士とは、主に冷暖房設備、空調設備、ガス管配管設備、浄化槽設備、上下水道配管設備などの管工事全般に関わる人を対象にした専門資格です。仕事内容は、主に管工事における施工計画の作成です。さらに実際の現場で、管工事の質的向上のために、工程管理や品質管理、安全管理などを行うことも重要な業務です。
具体的な仕事内容としては、施工計画の作成、工事の際の作業指示や品質・コスト・人材・進捗状況・安全の管理、その他工事関係者との折衝・調整などがあげられます。建設会社や配管工事会社などが主な活躍の場となります。また最近では、分譲マンションの管理組合が建物のメンテナンスをアウトソーシングするケースも増えてきており、マンション管理会社などでも管工事施工管理技士に対する需要が高まってきています。
管工事施工管理技士の仕事内容(配管工事の施工管理の場合)
(1)積算・段取り・工程作成
工事内容を把握し、「どの資材を使うか」「どの職人を使うか」を決めます。予算を超えなければ、資材や職人の決定権はあなたにあります。協力会社は約100社。馴染みのある職人に頼んでいただいても構いませんし、価格で決めていただいても構いません。
(2)役所との打ち合わせ
工事内容や日程、見積もりなどを担当者とすり合わせます。打ち合わせで出た疑問点や修正点を改善し、役所に書類を提出しましょう。
(3)施工計画の設定
工期は1ヶ月~3ヶ月の案件が多いです。1週間単位、1ヶ月単位などで施工スケジュールを立てます。
(4)施工チェック
着工後は、現場を訪問。職人さんと話しながら、スケジュール通り進んでいるか、工事内容に問題はないかを確認します。公共工事は工期がはっきりしていますので、工事の進め方も担当者が主導します。稀に夜間に道路工事や店舗工事があります。
(5)引き渡し
施工内容のチェックを実施。合格基準を満たせば施主に案件を引き渡して完了です。
管工事施工管理技士の給与(年収)
10〜99人規模の事業所に勤める配管工の年収は430万円、100〜999人規模は424万円、1000人以上規模は531万円、10人以上規模平均は432万円となっています。 ただし、有資格者(管工事施工管理技士)になると責任や管理する業務も増えるために収入が高くなります。
1級管工事施工管理技士:平均500万円から600万円以上
2級管工事施工管理技士:平均400万円から500万円以上
なお、1級管工事施工管理士に関しては、実務経験によって年収800万円以上も可能です。特に大企業で勤務する場合は、高収入が期待できます。
管工事施工管理技士の将来性
管工事施工管理技士の資格を取得すると、建設業法で定められる専任技術者に当たる、主任技術者及び監理技術者資格が付与されます。この資格は一般及び特定建設業許可の取得には必須の要件となりますので、建設業を営む企業に就職を考えている方には非常に有利な資格となります。また、個人事業主として建設業許可を取得する場合には必須の資格と言えます。
下請契約の請負代金の額が一定額以上となる管工事においては、1級の有資格者等を置く必要があり、入札の際にも会社に所属する有資格者の人数が影響することから、建設業界では評価の高い資格となっています。
また、長期的に見ても建設業界の需要は様々なテーマで発生すると言えます。代表的なのが、インフラ設備の老朽化対策です。日本全国のインフラ設備は、高度経済成長の時期に集中して作られたものが多く、全国の道路、トンネル、橋などの多くが、建設から50年をむかえる中で、修理・修繕が必要となっていき、今後大きな市場になっていくと予測されます。
高い専門性や豊富な経験・技術が求められる管工事施工管理技士は、今後も欠かすことのできない資格です。
管工事施工管理技士になるためには?
管工事施工管理技術検定試験に合格しなければなりません。この試験は配管工事現場の管理者に必要な知識や技術があるか否かを問うものですから、実務経験があることが前提になります。受験資格にも「指定学科卒業後、×年以上の実務経験者」と厳密に定められているので、受験の際には注意が必要です。なお2級の学科試験のみ、17歳以上であれば誰でも受験ができるようになりました。
管工事施工管理技士試験とは?
管工事施工管理技士の資格には1級と2級があります。試験を受けるためには、学歴に応じた一定期間の実務経験が必要です。1級はさらに受験条件が厳しく、試験も高難度となっています。
試験は、1級・2級とも学科試験と実地試験の2種類です。
学科試験では「機械工学」、「施工管理法」、「法規」に関する内容が問われ、実地試験では「施工管理法」から問題が出題されます。学科試験と実地試験ともに60%以上の正解率で合格です。
1級管工事施工管理技士試験
受験資格
<学歴>
学歴または資格 | 実務経験年数 | ||
---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | ||
大学卒業後 | 3年以上 | 4年6ヶ月以上 | |
短期大学または 高等専門学校卒業後 |
5年以上 | 7年6ヶ月以上 | |
高等学校卒業後 | 10年以上 | 11年6ヶ月以上 | |
その他(最終学歴を問わず) | 15年以上 |
<2級管工事施工管理技術検定合格者>
学歴または資格 | 実務経験年数 | ||
---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | ||
2級合格後の実務経験 (最終学歴を問わず) |
5年以上 | ||
2級合格後 5年未満の方 |
高等学校 卒業後 |
9年以上 | 10年6ヶ月以上 |
その他 (最終学歴を 問わず) |
14年以上 |
<専任の主任技術者の経験が1年(365日)以上ある者>
学歴または資格 | 実務経験年数 | ||
---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | ||
2級合格後の実務経験 (最終学歴を問わず) |
3年以上 | ||
2級合格後 3年未満の方 |
短期大学または 高等学校卒業後 |
- | 7年以上 |
高等学校卒業後 | 7年以上 | 8年6ヶ月以上 | |
その他 (最終学歴を 問わず) |
12年以上 | ||
2級管工事の 資格のない方 |
高等学校卒業後 | 8年以上 | 11年以上※1 |
その他 (最終学歴を 問わず) |
13年以上 |
試験内容
【学科】
一般基礎、電気・建築、空気設備・衛生設備、建築設備一般、施工管理、関連法規
【実地】
施工全般、法規・工程管理、経験記述
受験手数料
【学科試験】8,500円 【実地試験】8,500円
申込受付期間
(例年)4月中旬~5月下旬
受験地
札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、沖縄
試験日・試験形式・試験時間
【試験日】
学科試験:(例年)9月第一日曜日
実地試験:(例年)12月第一日曜日
【試験形式】
学科: 四肢択一方式で、出題合計数73問、必要解答数60問です。
実地: すべて記述式で、解答を簡単明瞭にまとめます。経験記述1問、記述式5問中3問(必須1問、選択2問)
【試験時間】
学科: (例年)受験に関する注意:9時45分~10時 試験時間:10時~15時30分
10時~12時30分(一般基礎・空気調和設備・給排水衛生設備・電気・建築)
13時30分~15時30分(建築設備一般・施工管理・法規)
実地: (例年)13時~16時
合格発表
学科:(例年)10月中旬
実地:(例年)翌年2月下旬
2級管工事施工管理技士試験
受験資格
<学歴>
学歴または資格 | 実務経験年数 | ||
---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | ||
大学卒業後 | 1年以上 | 1年6ヶ月以上 | |
短期大学または 高等専門学校卒業後 |
2年以上 | 3年以上 | |
高等学校卒業後 | 3年以上 | 4年6ヶ月以上 | |
その他(最終学歴を問わず) | 8年以上 |
試験内容
【学科】
一般基礎、電気・建築、空調設備・衛生設備、建築設備一般、施工管理、法規
【実地】
経験記述、施工全般・法規・工程
受験手数料
【学科・実地試験】8,500円 【学科試験のみ】4,250円 【実地試験のみ】4,250円
申込受付期間
(例年)4月中旬~5月下旬
受験地
札幌、青森、仙台、東京、新潟、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、沖縄
試験日・試験形式・試験時間
【試験日】
(例年)11月中旬
【試験形式】
学科: 四肢択一方式で、出題合計数52問、必要解答数40問です。
実地: すべて記述式で、記述式問題(5問中3問選択[必須1問・選択2問])、経験記述(必須1問)からなっています。
【試験時間】
学科: (例年)受験に関する注意:9時45分~10時 試験時間:10時~15時30分
10時~12時30分(一般基礎・電気・建築、空気調和設備・給排水衛生設備・建築設備一般、施工管理、法規)
13時30分~15時30分(施工全般・工程・法規、経験記述)
実地: (例年)13時~16時
合格発表
(例年)翌年2月下旬
管工事施工管理技士試験の合格率は?
級 | 種目(種別) | 区分 | 21年度 | 22年度 | 23年度 | 24年度 | 25年度 | 26年度 | 27年度 | 28年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1級 | 管工事 | 学科 | 30.2% | 29.2% | 43.2% | 36.4% | 38.9% | 43.4% | 51.2% | 49.0% |
実地 | 62.8% | 60.1% | 46.1% | 49.2% | 67.8% | 60.3% | 50.1% | 61.0% | ||
2級 | 管工事 | 学科 | 58.8% | 50.9% | 47.3% | 50.7% | 50.1% | 59.8% | 57.9% | 66.2% |
実地 | 43.1% | 37.1% | 32.4% | 37.1% | 37.9% | 36.4% | 45.9% | 44.5% |
管工事施工管理技士試験の合格に必要な学習時間はどれくらい?
1級管工事施工管理技士試験
「年齢」や「職業」などで一概には言えませんが、一般的に、「初学者が合格するのに必要な学習時間」は、200~300時間と言われています。1日1~2時間、土日に3時間程度の学習時間(月間約50時間程度)を確保できたとして、およそ4~6ヵ月程度は準備期間として必要になります。
2級管工事施工管理技士試験
「年齢」や「職業」などで一概には言えませんが、一般的に、「初学者が合格するのに必要な学習時間」は、150~200時間と言われています。1日1~2時間、土日に3時間程度の学習時間(月間約50時間程度)を確保できたとして、およそ3~4ヵ月程度は準備期間として必要になります。
管工事施工管理技士試験は独学で合格することは可能?
独学で勉強する場合は、書店やネットショップで参考書や過去問題集を購入して勉強しましょう。オーム社の「これだけマスター」シリーズが人気です。管工事施工管理技士の試験を受ける方のほとんどが、仕事をしながら試験勉強を行っていると思います。
学生時代とは異なり、社会人はまとまった勉強時間が取りにくいことでしょう。週末に何時間も勉強するよりは、毎日通勤時間や休み時間を利用して、少しずつ勉強を進めていくことが合格への近道になります。
管工事施工管理技士試験の合格を目指す「おすすめの学校」とは?
学校名(教材名) | 詳細 |
JTEX |
1級管工事施工管理技士受験合格講座(1)学習目標
(2)講座のポイント
(3)充実のサポート
学費:31,320 円 JTEX「1級管工事施工管理技士受験合格講座」の詳細を確認する!
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JTEX |
2級管工事施工管理技士受験合格講座(1)学習目標
(2)ここが講座のポイント
(3)充実のサポート
学費:27,000円 JTEX「2級管工事施工管理技士受験合格講座」の詳細を確認する!
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総合資格学院 |
1級管工事施工管理 総合セットは、「学科講座」と「実地講座」がセットになった講座です。学科から実地まで先を見据えた計画学習で、ストレート合格をめざすセットになっています。 学費:350,000円 |
技術検定研修協会 |
・働きながら短期資格取得が可能です。 ・自宅でライブ感ある一流講師の講義を再現。
学費:175,000円 (1級管工事DVD総合講座) 195,000円 (2級管工事DVD総合講座) |
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